【灯夢想家】入居者の、入居者による、入居者のための暮しを守るために(緊急時編)①
先日大動脈解離の方について記載させて頂きましたが、その後彼女の主治医と話をした際に「あの時の速やかな救急搬送の判断がよかったんだ」と言って頂いたのですが、私は、単に御家族の意向が積極的な治療を望んでおり、あのまま様子をみて急変した際に御家族の心残りになってまうのではないかと思い、主治医と家族に相談し救急搬送をしただけなのです。(個人的な見解ですが、症状をみて判断するのは医療側の役割だと認識しております)
私が急変時に思い浮かべることは、本人と御家族に意向です。その思いに添うためにどのように判断すべきか考えます。
この話を踏まえて、入居者T様の話(成年後見制度を利用に弁護士が後見人である。急変時などの対応は私に一任している)。
今週日曜日の起床時に耳を押さえて痛がっているとの報告がある。様子をみると確かに痛がって両耳を押さえている。血圧も一時は200以上あったものの現在は160台と下降。麻痺はみられず、コミュニケーションはとれる状態。この普段の状態はというと、年齢は97歳。身辺は比較的自立していますが、認知症は重度にて幻視、幻覚が時々見られている。
このような状況下で、脳卒中を疑って救急搬送をするか、救急搬送をしてもし入院になった場合の本人の予後を想像した上で本当に救急搬送が必要か…痛みが継続することは本人にとっても辛い状況なので、痛みは緩和してあげたい…主治医曰く痛みを緩和するにしても確定診断が必要と言われる…本人にとっての最善は何か、と考えあぐねいている間に本人の症状が1時間ほどで消失…ほぼ以前のような状況に戻りました。(脳卒中と診断され、入院加療することは本人にとって必要か、その入院生活のために心身のレベルが下がるような予後を本当に本人は望んでいるのか…と悩みました)。その後様子をみておりましたが、脳卒中を疑うような症状の出現はなく、受診をせずに経過をみております。
急変時の対応をどうするか悩む時は、本人・御家族の意向がはっきりしていない時、状況を報告する際に御家族と連絡がとれない時、です。緊急時の対応がスムーズに行えるよう(本人・御家族の意向に添えるよう)、今年は改めて緊急時の意思確認シートを作成し御家族に記入していただき、緊急時の意思確認を行っております。
本人の暮しを想像し、本人の思いに寄り添いすぎるが故に時として医療と衝突してしまいますが、それでも臆することなく、入居者様の暮しを守るために日々奮闘して参ろうと思います。
2021-11-11