お知らせ

人生いろいろ、お医者様もいろいろ

先週、ある入居者様がご逝去されました。この方は、2月に急変し大学病院へ救急搬送された方でした…。

大学病院から退院したのですが、経口摂取ができずに点滴にて経過をみており、いろいろあって…胃ろうになりました。本人は胃ろうを望んでいたのかは不明ですが、御家族に元気になってほしいとの思いがあったのは事実です。胃ろう増設のために再入院し、それから無事に退院したのですが、胃ろうにするための入院が思いのほか長くなり(2週間以上)廃用のリスクが高い状態でのホームへの帰宅となりました。亡くなる当日、朝ごはんとして投与した注入の食事を誤嚥し、そのままお亡くなりになられたのですが…

誤嚥をした段階の本人の体の状況は、医学的に本当かどうかは分かりませんが、本人の臓器のほとんどは機能しておらず、フレイルの状態にあったと思います。自分で痰を出すこともできなくなっており、朝の注入も消化できておらず…活気もほとんどみられませんでした。先月の急変時に救急搬送をし、胃ろうまでして生きた日々は本人の望んでいた日々なのか…本人らしく過ごせたのか分かりませんが、亡くなった当日の本人の身体の状況を考えると、どんな医療行為をしようと、その日に天寿を全うすることが決まっていたように思います。御家族は別れの覚悟ができ、本人自身が天寿を全うすることができた、と思うことができていたら、あの時の救急搬送は間違いではなかったのかもしれません。

この入居者様の生涯の綴じ方にはいろいろと思うこともありますが、亡くなる前日にリクライニングの車椅子に座って頂き、在宅酸素を使用しながら玄関先で外気浴をし、本人の「は~い」との大きな返事を聞けたことは、私の大切な思い出となっています。

03/22/2022 木瀬